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脳梗塞治療時間との勝負 最新治療法や研究を紹介 名医2人「予防しっかりして」 市民公開講座で

2016年08月26日

上から荒木会長、齊藤教授、冨永教授
 
 市民公開講座「日本の名医から脳卒中を学ぶ~困難な脳梗塞治療 現在と未来」が11日、広島県医師会館(広島市東区二葉の里3丁目)であった。脳梗塞の病状や治療の現状、今後の展望などをについて日本を代表する2人の専門医が400人の受講者を前に話した。医療法人光臨会・荒木脳神経外科病院(同市西区庚午北2丁目)荒木攻理事長が会長を務めるNeurosurgery Update in Hiroshimaの主催。
 「脳梗塞の症状と治療の実際」では、東京大学大学院医学系研究科脳神経外科学の齊藤延人教授が話した。
 齊藤教授によると、脳梗塞の発症後、脳は分単位の時間経過と共に脳梗塞の範囲が拡大して重大な障害を引き起こす。「脳は、その部分ごとに機能分担しているので、やられた部分の機能がダメになっていく」。
 血管の詰まった場合、早く血流を再開することが救命や早期治療につながる。血栓を溶かす薬tPAがある。だが、発症後四時間半以内でなければ、効果を見込めない。また、使用すると出血を抑えられなくなるケースもあるという。
 カテーテルを使った血栓の回収手術では、太ももの付け根からカテーテルを挿入。脳梗塞発生部位まで送り、血栓を回収する。技術や機器は日進月歩で改良されている。
 ほかにも血管のバイパス手術などもあるという。
 続く「これから増える脳梗塞、その最新治療」では、東北大学大学院医学系研究科神経外科学分野の冨永悌二教授が最新情報を紹介した。
 「医師がなりたくない病気№1が脳梗塞」と切り出した。いつなるか分からないので準備できない、重い障害が残ると家族に迷惑を掛けると言った点が主な理由だ。「日本人の死因の第4位。寝たきり原因の1位」。
 齊藤教授同様、「様子見はとにもかくにも命取り。時間との勝負」と力説した。米国では「Time is Money」に掛けて「Time is Brain」を掲げ、予防キャンペーンを展開したことがあるそうだ。
 最新治療の現場では、まず血流を増やし、脳のダメージを最小限に抑えることが大原則と言う。発症後二十四時間以内に被害の広がる範囲を予測。「神経の完全に死んでしまう前に、神経の生きているギリギリの領域を少しでも残す」。
 新薬rt─PAによる血栓溶解療法は、発症後四時間半以内でなければ効果を見込めない。実際には、発症した人の5%~6%の使用に止まっているという。
 血栓回収手術は、器具のある医療機関や操作できる医師、スタッフが限られている。「どこでもできるわけではない」。
 すでに現在の脳梗塞治療は、限界を迎えていると言う。新薬開発や局所的脳低温治療など模索する一方で、注目されているのが「失われた神経機能の再建」だ。再生療法は、ES細胞やiPS細胞、患者自身から取り出した体性幹細胞、Muse細胞などに注目が集まっている。Muse細胞は、だれの骨髄にも少量あるそうで、自己増殖能力があり、神経に変化することができるという。脳に移植することで神経となって働くことが期待できる。「新しい神経を作るのでなく、神経の再生を助ける因子を分泌する幹細胞の研究が進んでいる」そうだ。
 さらに、厚生労働省などを旗振り役に、個人の遺伝子情報解析とデータベース化による脳卒中医療の情報量の増加、質の向上が進んでいる。「究極の個人情報なので管理が重要」と話した。
 両教授が口をそろえたのは予防の大切さ。血圧・糖尿病・コレステロール・禁煙・肥満を避けて運動するなどの注意点を挙げた。質の高い検査の重要性も訴えた。
     ◇
 脳卒中は脳血管障害の総称。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血が代表的。中でも脳梗塞発生件数は、脳卒中全体数の75%、四人に三人が占めるというデータもある。
 脳梗塞は、動脈硬化やほかの部位から流れてきた栓子が血管をふさいで起きる。血液が流れなくなることで酸素や栄養物が脳組織に届かなくなって脳組織がダメージを受ける。
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